北海道での青春

紀行文を載せる予定

微化石から人類へ(恐竜の時代へ)

8.地球最大の生物大量絶滅で、恐竜の時代を迎えるようになった

 今から2億5000万年前を境に、全地球生物種の約95%が絶滅してしまいました。
ペルム紀末、古生代中生代の境です。生物大量絶滅の原因は、大規模火山噴火によって引き起こされた急激な気候変動と、大気の酸素量の激減だろうと考えられています。

 

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シベリアに分布する溶岩・火成岩

 

【上図】は、ウラル山脈の東、西シベリアから中央シベリアにかけ広がる玄武岩溶岩と凝灰岩・火砕岩の分布です。噴出した年代は、2.5億年前とわかり、生物大量絶滅時期と一致します。
 長さ50kmの割れ目が、大地のあちこちにできて、玄武岩溶岩が、高さ3000mもの火柱となって吹き上げ、溶岩の洪水となって流れ出しました。これは、直径が1000km以上にもなるドーム状のスーパー(ホット)プルームが、地下に湧き上がってきて、直接的に影響を及ぼしていたと考えられます。
 大規模火山噴火によって、森林や有機物は焼かれ、火山ガスやCO2 が増えて気温が上がります。すると、海底のメタンハイドレート(Methane hydrate)が溶けて、大気中にCH4 (メタン)が出ます。CO2 より温室効果が20倍も高いので、さらに気温が上がりました。メタンは、大気中の酸素と反応して、さらに酸素を減らしました。
 この為、石炭紀からペルム紀を通じて繁茂した植物の働きで、地球大気の最大30%まで増加していた酸素量は、急速に減少し、10%近くまで低下したと推定されています。

 

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ゴルゴノプスの想像図

 【上図】は、2.4億年前(ペルム紀後期)に繁栄した肉食ハチュウ類【ゴルゴノプス・Gorgonops】です。体長は、2mほど。頭骨の特徴から哺乳類と同じ単弓類に分類されます。恐竜に先駆け繁栄したハチュウ類です。ここで絶滅しました。(単弓類に属するハチュウ類は、わずかに生き残りますが、三畳紀末に完全に絶滅します。)

 

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キノドン類の想像図

 【上図】は、大量絶滅から偶然に生き残り、単弓類(たんきゅうるい)で、哺乳類の祖先とも言える【キノドン類・Cynodont】です。大きさはネズミのイメージです。

 この仲間は、恐竜の陰に怯えながらも中生代を生き続け、新生代で活躍する哺乳類へと進化しました。低酸素濃度の時代を生きる為に、肺を動かす横隔膜を発達させました。

 また、腹部の肋骨を退化させ、乳で子育てをする胎生という仕組みを獲得しました。

 

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ブラキオサウルスの復元図

 

【上図】は、偶然に生き残り、恐竜時代を築いた代表、【ブラキオサウルス・Brachiosaurus】です。ジュラ紀白亜紀前期の草食恐竜で、体長25m、高さ16m、体重80tあったと推定されています。

 低酸素時代を生き残る為に、気嚢(きのう・Air sacs)システムを獲得しました。

 ハチュウ類と鳥類は、肺に出入りする空気を気嚢というポンプのような機関で、常に一方向に流す効率の良い呼吸方法を獲得しました。

 生物大量絶滅を生き残れたのは偶然ですが、その後は、いかに低酸素の中で適応して生きられるかが、繁栄の鍵を握っていました。ちなみに、ハチュウ類と鳥類は、頭骨の側面の穴(側頭窓)が2つある双弓類(そうきゅうるい)で、哺乳類は、ひとつの穴の単弓類に分類されます。(【下図】参照)  赤色は、後眼窩骨 / 青色は、鱗状骨

 

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鼻孔・眼孔と側頭窓の違い

 


【編集後記】 ヒトは、ヘビ(蛇)よりカエル(蛙)の方に近いのかもしれない?

 今は絶滅した恐竜の中には、単弓類(哺乳類型)と双弓類(爬虫類型)がいたことは知っていたが、『なぜ、頭骨の側面に孔(あな)が開いているのか』という疑問は持たなかった。ヒトの頭骨が、生後に静聴して頭頂部で結合し、縫合線があるように、たまたまそこだけ骨がないか、逆に強度を増すのではないかぐらいに想像していた。

 ところが、調べてみて、側頭窓の機能は、顎(あご)を大きく開けて、餌を飲み込みやすくする機能だと知った。そうなると、分類上・双弓類である「爬虫類と、それから進化したと考えられる鳥類」が、この機能を獲得してきた理由がわかった気がした。

 一方、側頭窓の数が、ひとつ・ふたつと進化して増えていったわけではなく、どこかの共通先祖から分かれたもののようなので、ヒトは、爬虫類や鳥類とは、かなり前から先祖を異にしていたことになる。そうなると、両生類(カエルなど)の方に近いのかなあ?