北海道での青春

紀行文を載せる予定

日暮れが早まる初冬(霜月の句)

① 冬麗(とうれい)の 樅(もみ)日時計 影長し

② 星冴ゆる 宇宙(てん)の暦か G(ジー)の文字

③ 落ち葉踏み 家路の灯(あか)り 数へおり

 

 11月と言えば初冬であり、日暮れが早まっていく。そんな季節感に注目して俳句を作ってみようと思った。

 

 【俳句-①】は、我が家の庭に生えている樅(モミ)の木の陰影が長くなったなと、感じたままを詠んだ。ちなみに、「冬麗(とうれい)」という季語の漢語から受ける印象や言葉の響きにも、心惹かれるものがある。

 煙草を吸っていた私は、灰皿を供えた軒下で、庭を眺めながら喫煙した。樅の木の影が正面にくると、ほぼ午後1時。いつしか、太陽が木の先端に隠れるようになった。

 樅の木は、太陽の南中高度の変化を、忠実に伝えてくれる日時計である。人にわかってもらえるよう、影が長くなったと表現することにした。

 

【俳句-②】は、冬の星空を詠んだ俳句だが、『意味不明』と皆から却下されると思っていた。しかし、「Gの文字」に活路があったようで、選んでくれた人がいた。

 恒星で描かれる星座は、見えている方向と観測時刻の関係で、時季(季節)がわかる。それが、宇宙(てん)の暦の意味である。

 冬の大三角形に加え、8個の星を集めると、一筆書きでGの文字が描ける。

 牡牛座アルデバラン・御者座「カペラ」・双子座カストルポルックス・子犬座プロキオン・大犬座シリウス・オリオン座「リゲルとベテルギウスだ。
ちなみに、赤字の3つの恒星で、冬の大三角形である。

 晴れた夜空を眺め、今年も冬がやってきたという気持ちで、冴え渡る星々を捜した。

 ところで、日本で、下の様に星座が見えたら、ひとつの可能性は、冬至(12月21~22日)の頃の真夜中(午前0時)ということになる。

 星座の見える方向や時刻は、地球の自転と公転によって、変化していく。

 

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冬の星座(明るい星を結ぶとGの文字になる)

 

 【俳句-③】は、我が家を含む夕暮れの集落に灯りがともり始めていて、山道を下りながら、家の灯りを数えてきた実体験を詠んだ。

 農閑期は、午後、1時間ほどの散歩を日課にしている。夕暮れが早まり、帰宅時刻が遅れると、俳句のような状況になる。田舎の集落は、灯りを手がかりに、どの家人が帰宅していないか、数えられるほど長閑である。

 この俳句を作りながら、中学校からの下校風景を思い出していた。当時、途中には人家がほとんど無く、季節風の中、お腹を空かして、家路を急いだ。

 集落の灯りは、単なる光源としてでなく、村人が生きて暮らす暖かな場所という印象もあった。だが、この思いは、その人の体験によって、大きく違ってくるだろう。

 私自身、たまに出かけた都会で、例えば高層の集合住宅棟の、点灯していたり、暗いままだったりする部屋の光景を見る機会がる。それぞれの部屋に暮らし、様々な生き様をしている人々がいるんだろうなと、観念的に想像するが、そこで途切れてしまう。その後の興味は、光源の数や模様ぐらいにしか向かなくなる。

 

【編集後記】

 日本付近(中部地方)で、昼間の時間の一番短いのは、「冬至」の頃だが、日の入りの一番早いのは、11月最終週から12月第1週の頃だ。

 我が家は、盆地の西端にあって西に山を背負っているので、この時期の早い時は、午後2時半になると日がかげる。もっとも、東側に広がる佐久平には、冬の残り日に照らされた空間があるので、すぐに日暮れてくるわけではない。それでも、こちら側の影と、日向の平野部を見比べる、少し羨ましい気持ちも湧いてくる。「その分、日の出が早いので、いいか」と考え直して、納得している。

 それにつけても、日の入りの早まる方は、まだ許せるが、日の出の遅くなる冬の朝は、辛い。一年中、ほぼ同じ時刻(5時~5時半)に起きている私にとって、冬は寒さよりも、朝の暗さが堪える。

 そんな思いを毎年、繰り返していく。それ以上に精密に、宇宙(てん)の暦が動いていくことに感動するとともに、畏敬の念を感じて、11月の俳句を詠んでみたような気がする。