北海道での青春

紀行文を載せる予定

梅雨の晴れ間(水無月の句)

① アカシアの ひと葉ずつ捨つ 帰り道 

② 梅雨晴れの 雲上の雲 東へと

③ 産毛抜け 別れの昼餉(ひるげ) 六つ燕

 

 佐久地方では、近年、から梅雨であることが多いが、夏野菜を山の畑から水田の転作畑で作るようになって、私は、水やりの心配がなくなった。農作物の作業予定を天気予報を見て計画すると、6月も晴れの日が実際は多かった。

 

 【俳句-①】は、小学校からの下校途中、ニセアカシアの葉を一枚ずつ切り離しながら、「好き・嫌い」と占って歩いた思い出を詠んだ。

 マメ科の葉の付き方は奇数なので、最初から決まっている。(好きから始めると、好きで終わる。)葉が落ちていると、他の人もやっているなと思いながら下校したものだ。
 ところで、ニセアカシアの風情としては、花の蜜の匂いである。全山が淡い青白い花の色に染まると、里は匂いで満ちる。

 開花し過ぎない花びらを収穫してきて、天麩羅にして食べるのもいい。ただ、ニセアカシアの木が繁殖している所は、放置されたままの森林や河川敷が多いのも事実である。元気な植物である。北米原産の木で、日本には明治時代に入ってきたが、今では、日本各地で見られる。和名は、「はりえんじゅ」である。

 

f:id:otontoro:20200724101425j:plain

ニセアカシアの花

 

  【俳句-②】は、梅雨晴れの青空を見上げたら、中層雲と上層雲の形と共に、動きが違っていて、それがおもしろいので詠んだ。

 雲の動きを見ていると、天気予報ができる。地上天気図や高層天気図を描いた人でないと理解し難いかもしれないが、天気図で等圧線がわかると、風の方向と強さが推定できる。低い雲は、地上の地形の影響で変わりやすいが、少し上空の雲が東に流れているのは、西風が吹いている証拠で、現地からみて低気圧が東にあることがわかる。それ故に、この梅雨晴れは、明日も続きそうである。

 

 

 【俳句-③】は、晩春に飛来した燕の最初の6羽の雛(ひな)が育ち、親元を離れていく時の様子を詠んだ。

 どの巣から出てきたか不明だが、6羽の雛、寧ろ飛び立とうとする若い子燕が、我が家の近くの電線に止まった。目を凝らしたり、双眼鏡で確認すると、産毛が残っている。観察は、昨日、気がついて、今日は2日目である。

 【写真】は、電線上の6羽の子燕が並び、親燕が餌を与えているところで、観察の始めの方の撮影である。親燕の性別はわからない。途中で、何羽かが居なくなり、最少で4羽になった時もある。ずっと居た子燕がいたかもしれないが、互いの位置関係も、動いたのでわからなくなった。

 しかし、1羽だけ端にいて弱々しい印象の子燕に、餌の順番が回ってこなくて気をもんだが、全員に回数に差はあったが餌が与えられた。
 残念ながら、6羽の子燕が、元気に飛び去って行った姿は見逃した。親燕との別れの、最後の昼餉(ひるげ)だった。

 

f:id:otontoro:20200724101827j:plain

六つ燕と親燕(飛行している)

 

【編集後記】

 ここに載せた年度は、「から梅雨」であったが、昨年(令和元年)に引き続き、今年(令和2年)も、梅雨の長雨がなかなか上がらない。私たちの地域は、長雨と日照時間の少なさを嘆く程度のことで済むが、本年度、ほぼ九州全域、四国や広島県岐阜県や長野県などで洪水被害に遭われた方々には、お気の毒で仕方がない。大事にされてきた家屋や財産、思い出の品々、それに美しい自然や耕作地が、失われ、破壊されたことを想像すると、いたたまれなくなる。

 中国の長江流域の洪水被害の情報も伝えられてくるが、これが常態となってしまうのかと、心配である。