北海道での青春

紀行文を載せる予定

鳥のさえずり朝・昼・晩(皐月の句)

① 明け急ぐ まどろむ床の 鳥語(とりご)当て

② コロナ禍に 何の噂か 昼燕

③ 今宵また 我を寝付かす 青葉木アオバズク

 

 コロナ禍で、今月の句会も中止となったが、来月に、ふた月分ができるようにと、各自の俳句3句を提出し、まとめることになった。今年は、5月5日が立夏で、暦の上では、連休明けから「夏」になる。朝・昼・晩に聞いた夏鳥のさえずりを俳句にしてみようと考えた。


 【俳句-①】は、まだ眠り足らずに床に就いているのに、薄明かりの屋外から聞こえてくる様々な鳥のさえずりに、その姿を想像している様を詠んだ。

 初夏ともなると、私が起きる前から鳥たちの活動が始まる。少々ぼんやりとした頭脳で、「イントロ曲当てクイズ」のように、鳥の鳴き声から種類や、外の様子を想像している。シジュウカラ・カラス・スズメ・ヤマバト・ウグイス・ツバメ、Mさん宅の犬が吠える声、少し離れた自動車道を走る大型トラックの加速音や、国際線旅客機の遙か上空を通過する音が聞こえることもある。カッコーは寝坊なのか、もう少し遅い時間帯からで、今は聞こえてこない。

 

f:id:otontoro:20201028130417j:plain

富士山と鯨の形をした雲(レンズ雲の類)


 【俳句-②】は、燕のさえずりの「けたたましさ」を、コロナ禍の噂話をしている人間の会話のように感じて、「パロディ(風刺)」風に詠んでみた。

 現在のところ、新型コロナ・ウイルス感染者の出ていない田舎でも、買い物時のマスク着用と、帰宅時に石けんでの手洗いはするが、噂の類によって、ストレスになることは無い。しかし、燕たちの発する鳴き声は、会話(?)、それも、「おばちゃんたちの」噂話のように聞こえてくる。

 ちなみに、巣立ちする前の六燕の写真は、平成29年の6月に撮影したものであるが、奇しくも同じ電線に、今年も6羽の子燕が、留まっていて驚いてしまった。

『燕の兄弟姉妹は、おそ松くん兄弟のように六つ子なんだ。』

f:id:otontoro:20201028120944j:plain

巣立ち直前の6羽の子燕(六燕)


 【俳句-③】は、眠ろうと眼を閉じると、青葉木菟(アオバズク)の鳴き声が聞こえてきて、それを子守歌のように感じながら寝入った様を詠んだ。

 園児並みに早寝の私が床に就き、読書の為に蛍光灯を点けてしばらくしたら、薬師堂の山方面から、『ホー・ホー・ホー』と、アオバズク(フクロウの類)の鳴き声が聞こえてきた。読書は止めにして、その声を聞きながら眠ることにした。蛍光灯を消し、鳴き声を数えているうちに、寝付いたようだ。

 みゆき会で、俳句を紹介したところ、M氏は、『俺なら、少し恐くなって眠れなくなるかも』と感想を述べられたが、野外活動でテント泊経験の多かった私は、あまり気にならない。

 勤務していたM少年自然の家の敷地内だが、少し離れた森林の中で、「ソロキャンプ」をしたことがある。梢や星空を寝袋の中から見上げながら眠りに入る。

 これは、慣れないと緊張するし、特に、風で黒い影が揺れるのを見ると、不気味である。夜鷹(ヨタカ)が、『キョキョキョキョ』と甲高く鳴いていた。

 「アオバズク」の鳴き声を聞きながら、寧ろ、森の中で聞いた「ヨタカ」のことを思い出していた。

 

f:id:otontoro:20201028121638j:plain

アオバズク

 

【編集後記】

 数日前に、夏野菜の片付けをして、後はピーマンやシシトウの株をわずかに残すだけとなった。もう、果実は枝に成らないが、朝の霜を経て、柔らかくなった葉を収穫して、佃煮風にして食べるために残してある。

 最初に片付けたのは、胡瓜(キュウリ)で、続いて、ミニトマトやトマトと続き、あんなに勢力のあったオクラも、まさにお蔵入りとなった。

 近くは、茄子(ナス)を片付けた。茎や枝を支えた支柱に絡めた紐(プラ製品)をほどく作業は、けっこう大変だが、日付までは覚えていないが、『たしか、あの日に、ここに結んだなあ』等と、数ヶ月前のことを思い出す。非常に小さくささやかな生活の歴史だが、趣深いものがある。ただ、その時、思い出すだけで、その後は完全に消え去る。

 天日にさらして乾かしてある夏野菜は、枯れ枝や枯れ葉となるので、畑の一隅で、野焼きをする。それが済むと、秋が過ぎゆき、初冬を迎える。

 一方、冬越しの野菜(ニンニク・タマネギ・ネギの苗)には、「少しでも寒さが和らぐかな?」との思いから、周囲に「敷き藁」を施してやる。

 最後は、刻んだ藁や昨年の落ち葉を一年間保管しておいた腐植土などを散らして、耕作(冬ぶち)をすれば、今季の畑作業は一段落する。

 今は、そんなシーズンの、まっ只中です。