北海道での青春

紀行文を載せる予定

佐久の地質調査物語-113

  《チャート礫の存在が

         重要な意味を持つふたつの露頭》

 

  標高915m(西から流入の8番目の沢との合流点)付近では、黒色泥岩層の露頭が続きます。そして、少し上流部で、やや大型のコングロ・ダイク(2個)を見つけました。柳沢ルートマップの(【図-⑥】)の地点です。

 周囲の黒色泥岩層は、全体が均質で走向・傾斜を測定できませんでしたが、コングロ・ダイク(上流側)は、幅15cm×長さ6m、延びEW・垂直でした。それから下流側へ160cm離れて、幅5cm×2m、延びEW・垂直(下流側)で、2個が平行に並んでいました。付近の走向・傾斜傾向から判断すると、この2つのコングロ・ダイクも、走向方向と類似しているものと思われます。

 ところが、この露頭から上流へ水平距離で20mほどの場所に、正常に堆積した明灰色粗粒砂岩層と礫岩層(露頭幅で10m)がありました。(【図-⑦】)
 砂岩層と礫岩層の境目で、走向・傾斜は、N60°W・10°SEです。礫種は、黒色頁岩、灰色・暗灰色など砂岩、そして、何んと明らかに白色と灰色チャート礫も含まれていたのです。ほとんどの礫は円礫で、最大径は、チャート礫の直径3cmでした。
 露頭幅10mは、10°の南傾斜とすると、層厚は、1.736m(←sine10°)になります。残念ながら、粗粒砂岩と礫岩の別々の幅を記録してないので、正常に堆積した礫岩層の層厚を特定できません。その南、上流側には、上位となる灰色中粒~粗粒砂岩層が続いていました。

 ここで、重要なことは、わずか20mほどしか離れていない地点で、チャート礫の入らない礫岩層(コングロ・ダイク)と、入っている礫岩層(正常な堆積)の対照的な露頭が存在することです。

 礫岩層の礫種と言えば、物理的・科学的にも安定で、風化・浸食に耐えるチャート礫が入ることは極めて普通(自然)です。実際、今まで観察してきた多くの礫岩層では、ほぼ例外なく含まれていました。例外の場合は、その特別さを説明できる理由がありました。
 それ故に、ますます、コングロ・ダイクの成因についての疑問が深まりました。
 ちなみに、六川資料では、【図-⑦】の地点を標高930mと報告していますが、私は、925~927mと推定し、一応、 標高927m付近(【図-⑦】)にしました。

 最後に、推定標高930m(+α)付近で、黒色泥岩層を確認して、下山しました。この日は良く晴れた一日でしたが、11月下旬なので夕暮れは、急に気温が下がりました。

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(再掲)柳沢の下流部ルート・マップ


 【 閑 話 】

 柳沢の標高875m二股付近にあった「ロードキャスト(load cast)」が見られる産状の写真です。残念ながら、根付き露頭ではなく、転石だったので、付近の説明文では紹介しませんでした。

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ロード・キャスト(load cast)

【説明】
 写真の「北アルブスの山並の稜線」のように見える部分から下が、黒色泥岩です。(注:印刷・加工技術のまずさから青味がかっています。)
 上は、灰色中粒砂岩です。つまり、境は砂(上)と泥(下)の境界面です。
 先に堆積した泥が未凝固の状態の時、続いて堆積してきた砂が、泥より砂の方が比重が大きいので、泥を押しのけて沈んで堆積してしまいました。それで、自重で負荷を掛けるという意味で「load」と、それによる鋳型(cast)という意味で、『load cast』と名付けられています。ただし、境界の高低差は、1~2cm程度のオーダーです。砂岩層の下底に見られることが多く、堆積した当時の重力方向(上下)を知る手がかりとなります。

 

8.柳沢の調査(2)から

 柳沢の中流部~上流部は、六川資料(1999 6/12)に基づいて説明します。
 標高935m~942m(南西から流入する沢との合流点)では、随所に黒色泥岩露頭があり、この中からMacoma sp. (シラトリガイ・・イズラシラトリガイか?)が、希にMacoma optiva(ダイオウシラトリガイ)が見つかりました。
標高970m付近(【図-①】)では、黒色泥岩層が続き、泥岩の中から、二枚貝化石Yoldia sp.(ソデガイ)とLucinoma sp.(ツキガイモドキ)を見つけました。

 標高1005m付近(標高1010m二股の少し下流)では、黒色泥岩層に剥離性が出てきて、層理面と思われるところで、N24°W・8°Eの走向・傾斜が測定できました。この走向を見ると、沢筋と一致するので、下流から観察してきた黒色泥岩は、ほとんど同層準を見ていたとわかりました。(【図-②】)

 標高1008m付近の二股を確認し、標高1040m付近の二股までは、黒色泥岩層が続きます。南に延びる右股から傾斜が急になり、標高1050m付近から、明灰色中粒砂岩層になりました。(【図-③】)風化色の特徴から凝灰質だと思われます。この砂岩層が、標高1065m二股、標高1100m二股と続きました。そして、ほとんど源頭部に近い標高1120m付近では、凝灰質中粒~粗粒砂岩層に、軽石(pumice)が含まれていました。(【図-④】)

 日の長い6月とはいえ、下流から源頭部まで約3km、標高差300mに及ぶ調査は、大変な一日でした。

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柳沢・中流~上流部のルート・マップ(大沼沢は、次回で紹介します。)

 

 【編集後記】

 本文中で、「赤い文字」で強調して示しましたが、コングロ・ダイクの礫岩を見た後、水平距離にして、わずか20mほど上流で、白色と灰色チャート礫の入った正常に堆積した礫岩層を見つけた時は、驚きました。一度、観察した後で、もう一度、戻ってみたくらいです。そして、20mと接近していることを再認識しました。

 傾斜が南落ちなので、正常に堆積した礫岩層の方が上位です。また、内山層は、黒色泥岩でも、いくぶん砂質ですが、全体を下部層と上部層に分けた時、ちょうど境目が砂質および砂礫層が多くなり、一旦、堆積盆が浅くなった時期に相当します。

 ですから、正常に堆積した礫岩層は、周囲の左岸層と共に、境付近の層準と思われます。

 ところで、最近、屋根や雨樋の塗装作業を続けてきています。昨日は、2階の北側ベランダ、そして、今日の午前中は、2階の南側ベランダの鉄製手すりを「赤色」で塗りました。

 昨年の五月連休明け、遅霜ではないけれど、朝の最低気温が2℃となって、定植したキュウリ・トマト苗の一部に被害が出たので、今年は連休明けまで、苗を植えないことに決めました。加えて、コロナ禍で、里帰りしてくる孫たちもいないので、塗装作業もはかどります。2階ベランダは、外から梯子を掛けても、1階分の高さなので、この程度なら安心できる高さです。ペンキを使い切って、今シーズンは終わりとしたいので、もう一日ぐらい、車庫の屋根に挑戦です。(おとんとろ)