北海道での青春

紀行文を載せる予定

令和3年 皐月の句(5月に殖えたもの)

 【 皐月の句 】

① 築山に 山百合殖えて さき楽し

② 石楠花(しゃくなげ)を 伝ふ滴に 音は無し 

③ 山藤の 山肌粧(よそお)ふ 絹衣     

 

 一時期、長野県下では新規コロナ・ウイルス感染者が、県全体で1日・48人(5月23日)と増えた事もあり、佐久地方でも警戒レベルが上がったが、比較的、早く治まったので、定例俳句会を開いた。
 私は、初夏と共に、5月に「殖えたこと」をテーマにしてみた。捜してみると、次々に題材があつまり、提出した3句の他に5句も出来た。ただし、出来の具合は怪しいが、それだけ、日常に感動のあった5月であったのかもしれない。


 【俳句-①】は、知らぬ間に「ヤマユリ」の株が、庭の築山や路地に殖えたので、花の咲く真夏を楽しみに、大事に管理している様を詠んだ。

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築山の庭石にもヤマユリが殖えた

 秋になると、ヤマユリ(山百合)は、めしべの子房部分が茶色く変化した「朔果」と呼ばれる所に、種子ができる。まるで小さなコイン(金貨)が、ぎっしりと積み重なったような形態で、この種子が散らばって殖えていくようだ。
 だから、知らぬ間にではなく、注意していれば、芽生えが観察できたのだと思う。
 一方、根付いたヤマユリは、百合根という球根ができて、翌年には、こちらからも芽生えていく。ただ、肥料を与えないせいなのか、見学した百合園から購入してきた百合の園芸種は、毎年、小さくなっていってしまった。
 今年、芽生えたヤマユリは、大事に管理して、数株は、8月1日のお墓参りの花として、献花したい。

 

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山百合の花



 【俳句-②】は、庭の石楠花(シャクナゲ)の花に、霧雨が降った後、雨粒が垂れていく様子を詠んでみた。
 石楠花は、本来は高山植物であるが、私の父が若い頃、八ヶ岳山稜から持ち帰り、庭に植えたものらしい。
 何年周期という正確なデーターはないが、明らかに、花が盛んに咲く年がある。今年は、その年度に当たっているらしく、2株とも、見事に花を咲かせた。
 霧雨の後、庭に出てみると、クチクラ層の発達した葉から、雨の滴が垂れていた。物理的に、雨粒が垂れる音は聞こえないと思うが、『音は無し』と表現してみた。

 我が家は、佐久盆地の西端の山裾に位置するので、閑静な所だ。ただ、正確に言うと、中部横断自動車道が出来たので、耳を澄ませば、自動車の加速音が、わずかに聞こえてくる。

 

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庭石に添う石楠花の花


 【俳句-③】は、農作業を終えて自宅への帰路、軽トラックから新緑の山肌の中に、淡い薄紫色の山藤(ヤマフジ)が麗しく見えた様を詠んだものです。
 遠目に里山の雑木林の中の山藤の色合いが、なぜか艶めかしい女性の下着、しかも、西洋的なものではなく、和風の「襦袢」のようなイメージで感じられました。下着の色は、白が一般的ですが、薄紫色も、またいいものです。
 それで、襦袢では露骨過ぎるので、絹の衣(ころも)と洒落てみました。
 私は、普段、こういう俳句はあまり創作しないのですが、俳句会で披露すると、会員から多くの推薦票をいただくこととなり、びっくりしています。
 ただ、中句の「粧う」は、「装う」でよかったかなとも思います。山藤とて、お化粧をした訳ではなく、ただ懸命に綺麗な花を咲かしている自然の営みに過ぎないはずなのです。

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山藤(ヤマフジ)の花

 【5月に殖えたもの(追加版)】

(ア)赤松の新芽が殖えた。そこで、一句 

 『松の芯 百年民家 黙し見ゆ』
 我が家は、今年の秋で、築101年を迎えます。赤松の歴史は、その内の半分強の60年ほどですが、庭から家屋を静かに見守ってくれています。
(赤松の新芽の芽生えは、5月初旬でしたが、松の芯は、春の季語です。)

(イ)雀の囀りが増えたように感ずる。
 『雀殖え 我を目覚ます 初夏の四時』
 番(つがい)の雀が、我が家の近くに新たに住み着いたのか、朝の鳥の囀りに、雀の鳴き声が加わった。

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赤松の新芽(松の芯)



【編集後記】

 5月にと言うより、今年度、意図的に殖やしたものは、アスパラガスの苗である。

【下の写真】のように、小さなポットに市販のアスパラの種子を蒔いて、温室でしばらく育てた後、外に出した。失敗するかもしれないと、2回に分けて挑戦したので、合計48ポット(先)+36ポット(後)、84ポットとなった。これらを、やはり2回に分けて、山の畑に定植した。 

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アスパラガスの苗を育てた(24ポット×3.5=84ポット)

 これには、次のような苦労話がある。

 まず、アスパラガス栽培のきっかけは、好きだからという理由だが、加えて、買い物の折、スーパーで価格をみたら、他の野菜類に比べてかなり高い。これなら、自分で栽培して食べようということになった。

 初年度は、苗を購入してきて植えたが、次の年からは、種を蒔いて育てることにしたが、失敗した。ようやく、3年目から蒔く時期、管理方法がわかり、次々と畝を増やしてきた。そして、念願の「好きなだけ食べる」という夢が実現できた。

 ところが、肥料が少なかったのか、弱り出してきた。慌てて追肥や土壌改良をしたが、間に合わず、加えて害虫被害が出始め、ついに昨年度は、最後に定植した一列を残して、全滅した。食べたのは、数本という悲劇だった。

 家内は、カラマツ林も近く、午後の日差しの少ない環境だから、日照時間不足だと言うが、それも事実だが、明らかなのは、「ジュウシホシクビナガハムシ」が殖えてきてたことが原因と思われる。数年前から、少しずつ被害が出ていた。

 星の数を数えたことはないが、14星というらしく、首も長いのが特徴の葉虫という名前が付いている。ジャガイモに付く「ニジュウホシ・テントウムシ」を毎日、つぶして回るのと同じように、気づけば手でつぶしていたが、ダメだった。

 

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ジュウシホシクビナガハムシ

 インターネット情報では、『 長野県内では山間の山沿いの畑に発生が多く、各地で被害が目立つようになった。・・・春先萌芽を始めると、越冬成虫が逐次固場に移動してきて、寄生し食害を始める。・・夕方になって気温が低くなると、下にくだって土塊の間や茎の切りあとの間隙に入ってしまう。

 食害されると茎は曲がったり、上部の加害部がへこんで変色したりして、次々に萌芽するアスパラガスが加害されるので、被害は大きい。
 ・・・・成虫は体長7~ 8 mmで全体が赤橙色で、14個の黒点がある。幼虫は頭部が黒色で体全体が灰褐色をしている。 3対の脚で動きまわる。』とある。

 これなら、一旦、畑を全滅させようと考え、アスパラガスの地下の根の大きいものだけ少し残し、一列を残して、害虫を見かけなくなってから、畑を白紙状態にした。

 そして、新規に84ポット(本数は、更に多い)を定植した。だから、今年採れて食べたアスパラガスは、たった一本だけだったが、来年は・・・・・と希望を抱いて、畝の除草をしています。(おとんとろ)