北海道での青春

紀行文を載せる予定

佐久の地質調査物語-152

第Ⅸ章 内山層の層序

 

4.南部域・矢沢の地質柱状図

        データーから

 

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矢沢(やざわ)の地質柱状図

 コンクリート製の橋(標高978m)付近に先白亜系と内山層を分ける「矢沢断層」があります。下流は御座山層群と思われ、そこに石英閃緑岩が貫入しています。上流は、内山層で、褶曲構造が認められ、向斜軸付近の粗粒岩を境に、下部層と上部層に分かれます。最上位は、板石山安山岩溶岩に覆われています。

 

 

5.南部域・抜井川支流の

     地質柱状図データーから

 

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抜井川支流(北側)の内山層分布域の沢で対比

 図の範囲は、抜井川に北側から流入する沢で、左側が西、右側が東になります。これらの沢の中流部から上流部にかけて内山層が見られ、下流部は山中地域白亜系が分布しています。断層によって断たれていますが、大局的に見ると、東西方向に軸をもった白亜系の向斜構造があり、その北翼に当たります。
 それで、向斜軸から北側へ離れるにつれ、三山層、瀬林層下部層、瀬林層上部層(以上、白亜系)と分布し、これらを内山層(新第三系)が不整合に覆っています。内山層の基底礫岩層と接する白亜系は、いずれも瀬林層下部層です。この為、地質柱状図で表現する時、白亜系の部分は、層序の上下関係が逆になっています。(注意してください。)

 また、隣接する沢なのに、巨礫を伴う基底礫岩層が見られないことが、ひとつの根拠となって通過する位置を推定した「都沢断層」が、大野沢支流第3沢と第4沢の間を通っています。

   内山層基底礫岩層が、瀬林層下部層を不整合で覆っている露頭が、古谷集落北側の沢、腰越沢、大野沢支流第4沢の中流部にあります。礫岩層の層厚は、10~15mでした。直径が優に50cmを越える巨大な礫が含まれています。他の地域でも、巨礫は含まれていますが、この地域が一番径が大きく、その数も多いです。

 礫岩層のすぐ上位は、いきなり厚い黒色泥岩層が堆積しています。二枚貝の化石も含まれます。この傾向は、北部域と共通しています。その上位に、コングロ・ダイクを含む層準がありますが、認められたのは、西側の「古谷集落北側の沢」だけ(※)でした。
(※コングロ・ダイクは、基底礫岩層群の粗粒砂岩層にもありました。また、正常に堆積した礫岩層も見られました。)

 この地域では、内山層の下部層が見られ、大野沢支流第4沢で、最大240mでした。しかし、上部層の最下部となる粗粒砂岩ないし礫岩の「砂礫相」露頭が、観察した範囲ではありませんでした。
 尚、第4沢では、凝灰岩層や軽石(pumice)が入る層準がありますが、これらは他の沢へはなかなか追えず、鍵層(key-bed)にはならないようです。

 

【編集後記】

 各項目ごとに「地質物語」の回数を重ねてきましたが、「4.矢沢の地質柱状図のデーターから」の内容が、少ないので、次の「5.抜井川支流の地質柱状図データーから」も一緒に紹介することにしました。

 これで、北部域~中部域~南部域の代表的な地質柱状図を示しましたが、細かな部分で検討が必要な沢や、中部域の東側に位置する「熊倉川流域」については、まだ説明してありません。次の回(153回)以降で紹介していきます。 

  

             *  *  *  *

 

 ところで、今月のファイル利用量が、まだ1%にも達していないので、写真を掲載したいと思います。 

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根子岳志賀高原)~浅間火山群の眺望

 天気予報の「雨雲(雪雲)レーダー」を見ていると、連日、北陸(山陰)~東北~北海道の日本海側では、大雪となっています。その雪雲が季節風で流されて佐久地方にも降雪します。しかし、いつもそうなる訳ではありません。

 先日の雪雲の流れを見ていると内陸部へは、京都~関西、場合によって関ヶ原方面への侵入と、長野県大北地域(大町・白馬~中野・飯山)を経て、場合によっては北関東へ侵入としていました。内陸侮への侵入は、山岳地帯が壁となって、雪雲を分けていたようです。

 後者の雪雲侵入の境目になるのは、上の写真の連山です。左(北西側)の志賀高原~浅間火山群です。この北側は、野沢温泉(長野県)や越後湯沢・谷川岳尾瀬沼方面となり、豪雪地帯です。 

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浅間山と呼ばれている山並(黒斑山・牙山・前掛山)

 実は、「浅間山」という名前の実際の山頂は、存在しないという話題は、何度も紹介しました。ちょうど、北海道の「大雪山」という名前の実際のピークが無いのと同じです。

 ただし、多くの人は、浅間火山の現在の噴火口を持つ、「釜山」の佐久側から見て前掛けのように覆う「前掛山」を浅間山と理解しているようです。山の肩から写真の右(南東側)へかつての溶岩流が流下したなだらかな稜線が続きます。良く観察すると、大きく二段の溶岩流跡が確認できます。その先に、小浅間があります。(下の写真、左端)

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小浅間の南東(右)にパラダスキー場(上信越自動車道の橋脚も見える)

 上の写真の雪の白くつもった筋は、「スキーガーデンパラダ」で、主に人工降雪によるスキー場です。平尾山の北側と南側斜面にスキー場があり、こちらは南側斜面です。

 軽井沢プリンスホテル・スキー場と共に、上信越自動車道都心部から車で移動してきて、普通なら「ノーマル・タイヤ」のまま、スキー場に到達できるという便利さがPRポイントのひとつです。というのも、写真からわかるように、スキーゲレンデ以外には、雪が見あたらないほどです。

 さすがに、今シーズンは無謀ですが、これも佐久地方の厳しい寒さの割に雪の降らない気象条件の賜(たまもの)かもしれません。

 

 ところで、エピソードを2つ紹介して、終わりにします。

(ア)「天気予報は、好きな方をお選びください。」

 天気予報の全国版は、新潟・長野・(前橋~埼玉をとばし)東京の天気が紹介されます。この時期は、長野「曇り時々雪」に対して東京「晴れ」が多いですが、好きな方を選ぶと、正解です。つまり、東京と同じです。

 一方、東海地方から関東に懸けて天気の悪いとき、東京「曇り時々雨」に対して長野「晴れ、午後は雲が広がる」だったら、晴れていた方が好きなので長野を選ぶと正解です。要は、東京と長野の天気を見て、より好天気を選べば、佐久の天気予報となります。実際、晴天率も高く、反対に降水量も少ないようです。

 
(イ)「いつから浅間見学の名所になったの?」

 三枚の写真の一番上の写真に写る畑は、私が耕作している畑の一部が写っています。

 畑仕事をしていると、自家用車が止まり、いつまでも動きません。私が働いている所を監視しているような気がして、睨め付けると去っていきます。

 どうやら、例えば蓼科から大河原峠を越えてきたり、場合によっては新しくできた「美笹・深宇宙電波探査用地上局」を見学した帰りに、市道を下ってくると、視界が開けて浅間火山群が良く見えるので、下車して携帯電話で写真を撮っているらしいのです。

 先日は、プロ・カメラマンが使うような写真機と三脚を持ち、県外ナンバー車の男性が写真を撮っていたので、話しかけたら、『浅間が良く見える場所として紹介されている?』と語ったのには驚いてしまいました。

 まだ、北海道富良野のラベンダーを写す為に、畑に無断で入られて困りますというような訳ではありませんが、夏場に働いている最中に駐車するようなら困ると心配している私です。 (おとんとろ)