第Ⅹ章.コングロ・ダイクの成因
2.コングロ・ダイクの類型
(1)大型タイプ
特に大きさに関して基準を設けていないが、幅よりも寧ろ、長さが5mを越えるようなもの。観察した中では、長さが5mを越えると、幅は20cm以上ある。
周囲の地層の走向に対して、(ア)高角度~直角に交叉するもの、(イ)低角度で交叉するものがある。ただし、周囲の地層の傾斜より緩いことはなく、ほとんどが垂直に貫入している。
撮影した露頭の写真は、「第Ⅱ章 コングロ・ダイクとは何か?」で見てください。
構造を理解してもらうには、図の方がわかりやすいと考え、【図-1】で示しました。
南に緩く傾斜する黒色泥岩層(頁岩にはなっていない)に対して、コングロ・ダイクが、ほぼ垂直に近い角度で貫入しているように見えます。
露頭は表面しか見えていないので、下方にどの程度の深さまで達しているか、正確にはわかりませんが、棒状というより板状の形態だろうと推測しました。
【図-2】は、南側に緩く傾斜している黒色泥岩層・砂岩層・黒色頁岩層の中に、ほぼ
垂直に近い(70°W)角度で、コングロ・ダイクが貫入しています。特に、地層の逆転は考えられないので、上位の黒色頁岩層が蓋をしたような産状となっています。
【図-3】は、沢の左岸と右岸にコングロ・ダイクが認められ、かつて繋がっていたと考えられる露頭です。層状(板状)であったものが、沢水の浸食で失われ、その痕跡が、両岸に残っていると推測できます。
露頭幅の10cm(左岸)~25cm(右岸)に対して、横への広がりは川幅2.5m以上、川底~崖までの高さ3m以上の広がりが予想されます。
【図-4】は、目視できる程度の断層構造と共に、黒色泥岩や砂優勢の砂泥互層の中に、コングロ・ダイク(観察できた最大幅110cm)が貫入しています。
但し、後述しますが、産状をうまく説明できないことが多く含まれています。
(2)軟着陸タイプ
特に大きさに関して基準は設けていないが、幅と長さが共に大きく(例えば0.5m以上)、周囲の地層と比較的調和的に堆積している。潜らないで、軟着陸したようなので、そんな命名にしてみた。
例えば、板状の素材が水に沈んで行く時、水の抵抗を受けて底に、
突き刺さらずに、広い板面を底に着水するイメージである。
【図-5】は、小屋たけ沢の標高1000~1010mで見られる5つのコングロ・ダイクであるが、軟着陸タイプは、C地点の(ウ)
である。かつて、小滝の両側に水平な状態であったと推測できるが、現在は、中央が浸食されて、両岸に分かれている。
【図-6】の【C】・【I】・【J】の板状に分布するタイプである。
(3)普通タイプ
特に大きさに関して基準はないが、幅数10cm×1~2m(長くても3m)ぐらいもので、露頭で見ると「細長い棒」のように見える。実際は、周囲の地層にある程度の厚さ分だけ貫入している。周囲の地層の走向に対して、(ア)高角度~直角に交叉するもの、(イ)低角度で交叉するものがある。ただし、周囲の地層の傾斜より緩いことはなく、ほとんどが垂直に貫入している。観察した感触では、(ア)の方が多い。
(4)湾曲し不規則な形になるタイプ
多くは板状、棒状をしているが、湾曲していたり、不規則な形になっていたりする。大きさは様々である。
コングロ・ダイクが形成された後の変形か、形成中の事件を反映しているのかは分析しにくい。
(5)交叉、十字タイプ
2つのコングロ・ダイクが、十字に交わるもの。または、途中から枝分かれする。観察した中では、数は非常に少ない。原因は、わからない。
産地:①小屋たけ沢(【図-5】(ア)タイプ)
②滝ヶ沢林道の沢(標高940mASL【図④露頭】)
③武道沢(【図-6】(H)タイプ)
【編集後記】
露頭の写真よりも、形態の特徴を示すには、スケッチの方がわかりやすいのではないかと考え、代表的な「コングロ・ダイク」を示しました。小規模なものになると、あたかも、プラスチック製の定規やベニア板の切れ端のような精巧なものもあり、どうしてできたのだろうと、成因がわからなくなってしまうものもあります。成因についての推理は、後日にしたいと思います。
ところで、立春・2月4日に開幕した冬季・北京五輪(Olympic Games)には、興味津々で、ついつい遅くまでテレビを見てしまいます。また、昼間も見ます。
基本的に、スポーツ競技の、どの種目でも、日本人選手の活躍や健闘ぶりを応援していますが、やはり、自分もかつてしていた「スピード・スケート」に熱が入ります。
ただ、期待されていた選手が、思い通りの結果に結びつかなかった時や、不運にも失敗したり、場合によっては、運命なのかとも言うべき自然現象に妨害されて、まったく期待とは裏腹な順位となった時は、過酷だなあという思いです。
例えば、最近のオリンピック競技で新種目となってきた、「男女混合や団体」を強調した競技種目は、日本人好みの「男女、皆で助け合い、励まし合って」という心情にも合って、日本の得意芸だと思うのですが・・・・・
フィギュア混合団体チームが、銅メダルという快挙を挙げたのに対して、不運にも、ジャンプ混合団体チームは、1回目8位から大健闘したとは言え、4位となってしまいました。茶の間で見ているだけの私たちですら、悲しいのですから、当事者や関係者は、どんなにか口惜しいことだろうと推察致します。
オリンピックの競技種目や選手の活躍に関心が向いていて、やや国際情勢や新型コロナの感染拡大の話題から目が離れがちですが、「日々、刻々と動いていく地球というダイナミックな歴史」を感じているような毎日です。(おとんとろ)