北海道での青春

紀行文を載せる予定

令和4年度「師走の俳句」

      【師走の句】 

 

① 古稀にして 産休補助の 師走かな

② 北寄りに 寒満月や 昇り来る

③ 我が影に 歩幅を合わす 冬うらら 

              《日暮れ早まる頃》 

 令和4年の忘年会は外で開催できないが、「昼食会」でもしようということになりました。午前中に俳句会を済ませた後、お昼を囲んで雑談することになりました。8名と少ない人数の「前山みゆき会」ではありますが、全員がそろいました。
 ところで、12月は、私にとって大きな転機となりました。来たるべき新しい「シフト」に向け、期待と共に不安もあり、また、その準備に追われる1カ月となったのです。

 【俳句-①】は、文字通り、私が古希(70歳)を迎える年にして、「産休補助」に充たる教員として、中学校で働き始めるという、自身への驚きを詠んだものです。これは、説明しないと、背景がわからないと思います。

校舎の正面玄関と冠雪の黒斑山(浅間山系)

 私は、定年退職を迎えた60歳で、自宅に入り、農業と地質調査データーのまとめを始めました。地質については、既に大枠はできていましたが、将来、冊子にできたり、後輩へ資料が残せたりできれば良いとの思いからでした。それから9年の年月が流れてしまいました。その間、何度か教員補充や理科専科のお誘いを受けましたが、全て断っていました。わずかな家庭菜園とはいえ、農業には休みがありません。それに、野外での活動が好きなので、暇があれば未知な里山田圃道を歩き回ったり、散歩をしたりして過ごしていました。
 ところが、定期検診で訪れたS病院の駐車場に着いた時、見知らぬA中学校長から『12月末から3学期の間、1年生と3年生の理科を担当してもらえないか?』という趣旨の電話をいただきました。
 その後、検査をし、診察を受けた約1時間半後に、自分でもなぜそう判断したのかわからないですが、『農閑期なのでいいですよ』と、あっさりと承諾してしまいました。厳密に言うと、まだ駒込層より新しい時代の地質のまとめは完了していなかったのですが・・・、何んとかなるような気になっていました。
 さて、新規の「講師」採用に当たり、正式な健康診断書をもらう為の通院や、様々な書類整備があり、また、受験前の中学3年生を担当するので、即戦力も求められていたようで、正式採用の前の学年会にも参加しました。
 師走の公式登校は、引継ぎの日と2学期終業式を含む2日だけでしたが、気持ちの上では、のんびりと冬田道を散歩していられるのは、残り少ないかと思うと、時間を意識して大切に使うようになりました。
 そして、12月24日の初出勤日、学校放送で全校に紹介されるビデオ・カメラの前で、この俳句を披露しました。正式には、69歳と2カ月の年齢ですが、これでは俳句の語呂が合いません。そこで、ひとつおまけの古希にしてみました。

 

寒満月

 【俳句-②】は、12月8日の夕方、真東より、だいぶ北寄りの山の端から、大きな満月の月が昇ってきたことに感動して詠んだものです。米国では、12月の満月のことを「Cold moon」と呼んでいるようなので、その日本語訳のつもりで「寒満月」としてみました。
 ところで、冬空に高く昇った月は、寒気と共に澄んだ空気の中、小さく見えます。しかし、本来、月の視直径は同じはずですが、山から昇ってくる満月は、とても大きく見えます。月面のクレーターや月の海の模様が、くっきりとして神秘的でもあります。
 加えて、天球を移動していく時の経路が、冬の太陽の日周運動と反対で、より北寄りの北東側から昇り、南中高度は最も高くなります。そして、沈む時は、北寄りの北西側となります。
 そんな意味でも、ずいぶん北寄りから昇ってくる満月の方向にも、季節感を感じました。
 ちなみに、米国での月の異名は、以下のようです。
 1月:Wolf Moon 2月:Snow Moon 3月:    Worm Moon 4月:Pink Moon 
 5月:Flower Moon 6月:Strawberry Moon 7月:Buck Moon 
 8月:Sturgeon Moon  9月:Corn Moon Harvest Moon 10月:Hunter’s Moon or Harvest Moon 11月:Beaver Moon 12月:Cold Moon


【俳句-③】は、冬の日の昼下がり、自分の影と歩調を合わせ、リズミカルに、自分が歩いている様を詠んだものです。耳の中では、マーチングバンドの行進曲が流れているような気がします。そして、私自身が「バンドメジャー」になったつもりで、颯爽と歩いていました。

 

京都橘高校吹奏楽部(台湾の「建国節」に特別招待演奏)

 令和4年(2022年)10月10日、京都橘高校吹奏楽部が、中華民国建国記念日「双十国慶節」の祝賀式典に招待され、「元気いっぱい」・「笑顔いっぱい」・「夢いっぱい」のパフォーマンスを、台北市の総統府前広場で演奏・披露しました。高校生の一糸乱れぬ演奏に、蔡 英文 総統を始め、聴衆は総立ちで拍手を送りました。この映像は、台湾全土や日本にも配信され、SNS上で大きな話題となっています。
 私も、インターネット配信で、マーチングバンドの中継録画を何度も視聴しました。そして、その華麗さ、素晴らしさにすっかり魅了されてしまいました。
 それで、冬田道を散歩している時、耳に残った演奏曲が聞こえてくるのです。自分と自分の影は、行進曲に乗ってこ、互いに歩幅と歩調を合わせて、手を大きく振って歩きます。季節風は、弱く吹いているものの、穏やかな冬の日差しを浴びて、歩いていると、うっすらと汗が出てくる冬麗の日の午後でした。

 

【編集後記】

 非常に久しぶりの投稿です。「はてなブログ」を始めてから、5年目を迎えますが、まったく記事を載せなかった月はありませんでした。しかし、令和5年の1月と2月は、ついに「皆無」という記録を残してしまいました。

 定年退職してから今までの「自由に使える時間の中で」、既にある程度できていた原稿を元に、修正を加えながらブログに載せて、【編集後記】という形で補足したり、近況を話題に取り上げたりしてきました。しかし、教壇から15年以上も離れていた元教師が、9年間のブランクの後で現場に戻り、しかも、高校入試を前にした中学3年生の進路に関する書類作りと日々の授業、そして、その為の毎朝(2~3時間ほど)の事前準備と教材研究というシフトの中では、とても俳句作りや、ブログには手が回りませんでした。

 先週も、実は少し余裕があったのですが、ようやく、休日が休日らしい使い方のできる状態になってきたので、「はてなブログ」に師走の俳句を載せることにしました。

 ところで、今晩もWBCの「日本対チェコ」の試合を見ることになると思います。

私はスポーツは好きですし、競技を観戦するのも好きですが、こと野球に関しては、高校野球は見るものの、プロ野球のテレビ放送を見ることはほとんどありません。しかし、二刀流の大谷翔平選手の笑顔が好きで、にわかファンになっています。

 オリンピックの中継があると、ふだん早寝の私も、夜更かしをしてテレビ放送を見ていましたが、WBCの日本の試合があると、遅くまで起きていそうです。(おとんとろ)

 

しばらく