2.広がるコングロ・ダイク
【説明図】は、内山川の支流・柳沢の標高880m付近の露頭の位置関係を示しています。
話題にするのは、AとBの間の「両側の→」で示したコングロ・ダイクですが、産状を理解する為に、まず少し上流部の【C地点】の滝を紹介します。
周囲は、走向に幅はあるものの、全体的に西に緩やかに傾斜した黒色頁岩層を主体とする、灰色砂岩層との互層が分布しています。この中で、話題にする大規模コングロ・ダイクと、滝の手前の砂岩層はやや例外的で、地質構造が非調和的です。
【C地点】での現在の滝の造瀑層は、かつて手前の中粒砂岩層でしたが、河川の浸食により、滝が後退していったと思われます。中粒砂岩層と黒色頁岩層の間は、間隙ができています。
扉のように両岸に砂岩層が残ったのは、風化に対して強い砂岩層だったからと思われます。
基本的に、この現象が、話題とする大規模コングロ・ダイクで起きていたと考えられます。(説明図参照)
【写真-3】は、柳沢の標高880m付近で、大規模コングロ・ダイクが、左岸と右岸で見られる様子を、両岸の対応関係がわかるように上流側(南側)から写したものです。
また、貫入したコングロ・ダイクの産状がわかるように、それぞれ露頭がわかりやすい方向から写した写真を、両岸に重ねたものです。(写真を合成してあります。)
全体は、黒色泥岩層や、灰色砂岩層を挟む砂泥互層です。
走向・傾斜の全体的傾向は、N60°W・10~15°SWで、左岸側(写真左)は奥へ、右岸側(写真右)は手前に緩く傾いています。これに対して、コングロ・ダイクの礫岩層は、ほぼ垂直に貫入しています。(【写真-3】の拡大部分参照)
左岸側のコングロ・ダイクは層厚10cm×長さ2m以上、右岸側は、層厚12~25cm×長さ3m以上です。長さは、いずれも地表に表れている部分です。
両岸の礫岩層の岩相と層厚が、ほぼ同じであるという産状を考えると、かつて両岸のコングロ・ダイクは連続していたと考えても不思議ではありません。そして、沢を塞ぐ壁のように広がっていたものが、流水で浸食され、両岸に残ったと推理できます。
ちなみに、すぐ上流に、かつて砂岩層が造瀑層となる滝があり、両岸から開いた扉のように、砂岩層の一部が残っていました。(【C地点】の滝の手前の砂岩層の両扉)同様な流水による浸食地形だと考えられます。
この推理が正しいとすると、「層厚10~25cm×川幅(約5m)×地表部分と地下への多少の延びのあるであろう長さ(3m以上)」のコングロ・ダイクは、板状(層状)だと思われます。
つまり、前述【写真-1】の産状と併せて考えると、コングロ・ダイクは、ある程度の広がりのある礫岩層の一部分が、何らかの理由で泥岩層の中に貫入しているのではないかと推理できます。
【編集後記】
毎日、自宅の芝生管理を日課の予定に加えるのですが、午後は、畑の作物の水遣りで
2時間半はかかり、手が回りません。その影響は、はてなブログにも及びます。何とか、横への広がりを確認した、「柳沢の標高880m付近」の露頭を紹介しました。
明日は、参議院選挙区・長野県での投票があるので、92歳の母を伴い、選挙してきます。(おとんとろ)