北海道での青春

紀行文を載せる予定

2020-03-01から1ヶ月間の記事一覧

暑寒別岳と誰が名付けたのか

石狩湾の西に、ロッククライミングの練習ができる赤岩という崖があり、T君の熱心な誘いを受けて出かけたことがある。夏の沢旅に備えて、ザイル無しでは降りられない滝にぶつかった時の下降技術を身に付けておこうという目的だった。ザイルの結び方や登攀者…

知床岬を越えて

知床半島での15泊目のキャンプ地は、番屋の御主人の招待を受け、石狩鍋のご馳走をいただいた日のキャンプ地(C14)から、知床岬に向けて、2kmも進んでいない。それは、ポトピラベツ川と、その南の沢の偵察をしたからだ。足手まといになる下級生を残し…

ハイマツ帯での待ちぼうけ

振り返った方向に、国後島(くなしりとう)が見える。 ここからは、直線距離にして40kmは優にあるはずだが、何も遮るものがないので、非常に近く感じる。海岸の崖の様子までが、識別できる。知床半島と平行して延びている大きな島なので、北海道の根室方面…

ひとりでは恐い大自然

登山には、山脈の縦走やベースキャンプから山頂アタックというような形式はあるが、尾根を行ったり来たりする山行というのは珍しい。今回の知床半島の山行は、図のようなルートで、最終的には知床岬をめざした。 知床半島行ったり来たり 【山行の概要】◆札幌…

昆布漁(太平洋)と鱒漁(オホーツク海)

知床半島での6泊目と8泊目はモセカルベツ川、9泊目はウナキベツ川、そして10泊目はモレイウシ川と、それぞれの川が太平洋に注ぐ、河口近くにテントを張った。海辺の人々や、その生活ぶりに接する機会が多くあった。 ちょうど昆布漁の最盛期に当たり、海…

羅臼湖と知床横断道路

朝、起きると、霧雨が降っていた。昨晩、眠い目をこすりながらラジオの気象通報を聞いて天気図を作成したところ、午後から天気が回復するのは明らかであるが、私たちは、雨具を着て歩くという習慣は、ほとんどない。すぐに、「停滞」を決め込んでしまった。 …

北海道と本州

7月22日の朝は、快晴だった。白い下弦の月が青空の中に残っているが、それ以外は青そのものである。K氏の「かぜ」も良くなったようで、天気のような一日でありたいものだと思った。 テン場(テント設営場所)をきれいに片付けて、水の無くなりつつある沢を…

知床半島山行の始まり

若い頃は無理が効くからなのか、若者は無計画を実行してしまうものらしい。O先輩には、札幌から約1800km離れた九州・熊本まで、山行用非常食のコンデンスミルク缶ひとつで、帰省したという武勇伝がある。夏の山行から学生寮に帰還した後、故郷までの普…

ドクター・オホーツク

雷鳴がこだまして、大粒の雨がテントをたたきつける。かなり遠くで聞こえていた雷だが、明らかに近づいてきた。テント内のロウソクの明かりより、一瞬だが、稲光の方が強力に照らす。 ここは、知床岳(1182m)のピークに通ずる稜線。ハイマツが途切れて、…