北海道での青春

紀行文を載せる予定

秋の出来事(神無月の句)

① 大空に 銀杏落葉(いちょうば)放る 子らの声

② 暗唱す 挙式スピーチ 百舌鳥が聴き

③ 秋出水 案ずる行方 難無きと    《今月の出来事》

 

 佐久市文化祭に出品する「俳画を添えた俳句」を10月の句会で準備するので、毎年苦労している。ところが、台風19号被害のせいで、文化祭は中止となったので、安心してしまった。しかし、年度末に冊子にまとめる時に、俳画が無いと困るので、各自怠けずに、11月の句会には持ち寄ることになった。
 ところで今月は、印象深かった出来事を選び、俳句作りをしてみた。

 

 【俳句-①】は、遠足で小学2年生と北安曇郡池田町の長福寺境内の大銀杏を訪ねた時、歓声を上げながら児童が、銀杏の落ち葉を抱えて、空に放り上げている様子を詠んだ。

 樹高30m以上にもなる大銀杏は、一頻り黄葉を散らしても、樹上にはまだ有り余る程の黄葉を残していた。子どもらは、落ち葉を天高く放り上げ、それが頭上に落ちてくるのを楽しんでいた。
 やがて、銀杏(イチョウ)の落ち葉に寝転がり、友が銀杏の葉を布団のように掛けている。連日の晴天のせいか、銀杏の葉は、さっぱりとしていた。私も、童心に返って、落ち葉の布団の中に寝てみた。(ちなみに、銀杏(ぎんなん)は、まだ落ちていないので、臭くはない。)

 *ところで、「銀杏落葉(いちょうらくよう)」が冬の季語であるが、字数の都合で「いちょうば」と読ませることにした。

 (cf. 色紙は「長福寺での銀杏三題」である。)

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【俳句-②】は、甥の結婚式スピーチを頼まれ、その練習を人の居ない田圃道や山道でした。散歩を兼ねて、原稿を片手に、暗唱できるまで、何回も練習した様子を詠んだ。奇しくも、その度に百舌鳥の高鳴きが聞こえていた。

 結婚式当日は快晴であったが、台風19号襲来のちょうど1週間前だった。
 みゆき会のH会員は、結婚式スピーチを誰も聴いていなくて、百舌鳥だけが聴いていたという皮肉かと解釈したそうだが、私としては、聞き手にも感動的な話で、内容も良かったと自負している。新郎新婦からも、お世辞抜きに感謝されたようだ。

 

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百舌鳥(モズ)の高鳴き

 

 【俳句-③】は、台風19号の襲来で、大雨となった我が家の前の道路が川のようになって流れていく様子を見て、下流での被害が無いようにと祈ったことを詠んだ。

 経験したことのない大雨なので、私の住む地域より下流部では洪水被害があるのではないかと、心配すると共に予感していた。佐久市で10月11日昼から降り始めた雨は降り続き、10月12日の24時間雨量で303.5mmを記録した。長野・群馬県境では500mmを超えた。

 江戸時代、1742年(寛保2年)の「戌の満水(いぬのまんすい)」と呼ばれる千曲川水系での大洪水に匹敵する被害規模だったのではないかと思う。
 我が家は、佐久平の西の高台にあり、降った雨は低い下流へと流れていくだけである。『難無きと』祈りつつも、「気の毒に」と同情はしても、どこか冷めた視線を送っている自分があると恥じる。実際、我が家から数百m南西の山斜面での土砂崩れがあり、我が家も強い西風により、白壁を伝って侵入した雨漏り被害があった。翌日から、「畳干し」をした。

 また、予定した農作業もあったので、被災地へのボランティア活動に参加をすることは見送ってしまった。ただ、午後の散歩をしていると、少々気が引けた。

 

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新幹線車両基地への浸水

【編集後記】

  平成26年(2014年)2月14日(金)~16日(日)にかけての大雪には驚いた。寒さは厳しいが、積雪の少ない佐久地方で、1メートル近い積雪があった。

 そして、この令和元年(2019年)10月11日(金)~12日(土)の台風による豪雨被害である。

 数百年に一度というような天変地異を、わずかの間に経験したことに対して、良いことならいざ知れず、たいへんな被害になったことに心を痛めています。それでも、自分への直接的な、後々まで残る被害でなかったことに対しては、ご先祖様が守ってくれたのに違いないと解釈して、感謝しています。