北海道での青春

紀行文を載せる予定

SPごっこ

 愉快な娘さんを知っている。
 その家族は、外に出かけた時、様々な試みをし、周囲がどう反応するかを楽しんでいるらしい。

 ひとつは、混んでいるファミレスで待つ順番を「オニガワラ」と記帳し、店員さんが名前を呼んだ時、大袈裟に反応する。珍しい名前なので、周囲の人が振り返る。もし、同名の方がいれば失礼だが、まだ「鬼瓦」さんには出会ったことがない。
 席についても、注文が届くまで暇があると、どこの国の言葉かわからないような会話をし、周囲の特に小さな子どもが、「へんな言葉を話している人たちがいるよ」と反応するのを待っている。いつか家族で、本物の外国語で会話を交わし、『日本っていいわね』とやったらおもしろいだろうな等と話しているらしい。

 先日は、ついにSPごっことなった。リクルートスーツ姿の妹がVIP、母が付き人、ジャンパー姿の父が専属ドライバーで、自分がSP(セキュリティ・ポリス)。
 ドライバーが車を回してくる間、二人を入り口で待たせ、周囲をきょろきょろと伺い、胸元を持ち上げて、無線マイクで話す。車に近づき、両手で拳銃を構え、周囲の安全を確認してから、二人を車に慌ただしく乗せ、無線マイクで『今から出ます』と合図を送った。

 『お姉ちゃん、恥ずかしくないの。キャビキャビのお化粧をしたギャル女のカップルが、冷笑して通り過ぎていったんだよ』と言う。

 『不景気な世の中に、このくらいの笑いがあってもいいんだよ』と言い返した。

 VIPを乗せた車、高級車かと思えば、白のトヨタラウム。長野530さ・○○○○だった。
                     (平成21年12月 おとんとろ・記)

 

【忙中閑話】 我が家のナンバープレート

 その昔、TBS系テレビで「バックナンバー333」という刑事アクション番組が放送されていた。事件が解決し、走り去るスポーツカー(ダイハツ工業製)のナンバープレートがアップとなり、見ると「333」であった。最近では、弱冠の経費は要するが、自家用車のナンバープレートが選択できるようになり、採用している車が増えている。パチンコの数字合わせに由来すると思うが、「7777」というのもあるし、それに類似したものもある。車の購入年度や、車検登録者の誕生日、住所番地、電話番号に因んだものや、密かに意味のある数字もある。
 我が家の場合「○○○○」である。現在は事情が変わったが、軽トラの「3320(さんざん臭う)」以外の3台の普通乗用車が、全て「○○○○」だった時代がある。私の新車購入により、家内が乗ることになった「白のラウム」、私の「プリウス」、長女の中古車「赤のパッソ」の3台である。
 ある時、家内は近所のスーパーへの買い物だが、残り2台が他の用事で同行することになり、駐車場に「○○○○」を3台並べたことがある。傍を通過する人は気にも掛けなかっただろうが、私たちは、『誰かが気づかないかな?』と期待していた。
 高速自動車道を走っていて、たまたま同じ番号や意味有りの番号の後ろに付く時、いろんなことを思い描いてしまう。

 

【編集後記】

    言わばペンネームに相当する「おとんとろ」で書いているので、ナンバープレートの「○○○○」は、公表できないが、私と同じようにして車のナンバープレートにこだわっている人は多いように思う。

 傑作だと思ったのは、あるバス会社の観光バスで、「4771」というのがあり、これを「死なない」と読ませれば、すてきである。また、市役所の公用車が、「5963」(ごくろうさん)というのも振るっていると思った。

 一時期、宝くじの「ナンバーズ4」に凝ったことがある。宝くじを買い求めに行く時、自分の選んだ4桁の番号と同じナンバープレートを見つけてどきどきしたことがある。しかし、なかなか当たらないものである。半年ほど収支簿をつけてみて、止めることにした。