北海道での青春

紀行文を載せる予定

百合の花・三題(文月の句)

① 三帯(みつおび)の 解ける気色や つぼみ百合

② 風そよぐ 乙女のフリル 百合の花

③ 百合二株 開花競ひし 朝に佇つ

 

 平成26年6月中旬、群馬県太田市の百合園へ見学に行き、何株か苗を購入してきた。2年後、それらが大きく成長し、ひと組は我が家の庭で花を咲かせた。蕾(つぼみ)から開花するまで、さらに花数が増えて行く様、そして花が散るまでを、毎日、観察した。それで、6月の句会へは、百合の花をテーマにして俳句を詠んでみることにした。

 

 【俳句-①】は、百合の花のつぼみが、少しずつ開いてくる様子を観察していた時のことを詠んだ。
 三筋のへこみが入った黄緑色のつぼみは、やがて、薄紫色に色づいてくる。色が薄れたり、場所によって微妙に変わったりしながら、「三枚の帯」が重なっているかのように見える。

 学術的には、外側三枚は「がく(外花被)」で、三枚の花弁が、この中に包まれている。見かけは六弁だが、内訳は3+3=6で、構成されている。
 『帯を解く』と表現すると、女性の色香が感じられるようだが、まさに私には、
そんな艶めかしさを蕾の百合に感じてしまった。

 

 【俳句-②】は、百合の葉の重なり具合が、乙女が着用する「フリルスカート」のように見えてきて、そよ風に揺れているように感じられた。花に比べて細い茎は、少女の素足のようだ。それで、こんな俳句になった。

 当初、葉の重なりから、裳階(もこし)を着けた五重塔のような、仏教寺院の高層階建物を連想したが、豪華で華麗な百合の花を表現するには、地味なような気がして変えた。

 

f:id:otontoro:20200711111558j:plain

開花が同数となった二株の百合

 【俳句-③】は、二株の百合が、その花数を競うかのように咲いていく様子を、眺めている自分がいたことを俳句にした。
 百合のつぼみの色合いや大きさ(帯の解け具合)を見ていると、何処から開花するか予想できる。花は下の方から先に咲き出し、上の方に開花が広がっていく。

 左右二株の百合の花の数と開花の進行具合を、毎朝、庭に出て見守った。あたかも、小学校の運動会で、紅組と白組に入る得点を気にするような心境であった。

 ただ、つぼみの数まで数えると、左側の方が多いので、最終的な結果は予想できるのだが、いつも一輪ていどの差で、花数が推移していくので、負けている方(右株)に声援を送りたくなったりもした。 

 ちなみに、この写真を撮った時は、右株が追いついて同数になった。その次に咲きそうな花も、つぼみの様子からは互角で、どうなるかと楽しみにしていた。

 

 【編集後記】

 俳句会への参加2回目で、私自身では、俳句の出来映えは判断できないが、参加者相互に、ツイッターの「いいね」よろしく、他の人の俳句を選らぶのだが、俳句―②が、2票を獲得した。その日の帰路、喜び勇んで帰宅したというのは言うまでもない。

 その後、毎年のように今頃(7月)に咲きだして、目を楽しませてくれる。今年のように、梅雨の長雨が続いていると、清涼感がありがたい。