北海道での青春

紀行文を載せる予定

行く春三題(令和2年・卯月の句)

①コロナ禍も 成り行き任せ 猫の恋

② まず耳の 眠りを覚ます 初音かな

③ 同じ土手 母がみつけて 蕗の花

 

 新型コロナ・ウイルスの感染拡大に対する「緊急事態宣言」が4月7日(火)夕刻に発表され、4月8日(水)午前0時から施行された。今月も、俳句会の開催を見送ることになったが、個人的に、「行く春の印象」を俳句にしてみた。

 

 【俳句-①】は、コロナ禍に、人間は「不要不急の外出自粛」を合い言葉に、家に籠もっているが、それとは対照的な猫の奔放ぶりをパロディで詠んでみた。

 同じ街界隈に生きる動物でも、もとより感染には関心があろうはずもなく、盛りの付いた猫たちは、自然の摂理に従った成り行き任せに、行く春を惜しむかのように恋の季節を逞しく生きている。

 昔ほど近所に飼い猫がいなくなったせいか、早朝の雄猫の甘ったれた鳴き声を聞いたのは、一度だけだった。かつては、夜中や明け方、うるさいほど鳴いて、睡眠を妨げられたものである。

 敢えて、俳句に選んだのは、佐久地方では感染者も出ていないものの、買い物をする時はマスクを着用し、指先のアルコール消毒をするほど、気を遣っているのに、猫という知的レベルでは、まったく思いにもかけないようだ。無邪気で自然な本能的行動なのだが、私には、それが少し羨ましく思えてきた。

 

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猫の恋

 

 【俳句-②】 は、春眠の床で、鶯の初鳴き(初音)を聴き、目は閉じたまま、まず耳が先に目覚めたことを詠んだのだが・・。

 目覚まし時計は使わないが、私は午前4時半から5時頃の間に起きる。冬は真っ暗だが、4月初旬でも日の出前である。

 すぐには床を離れず、布団の床で自己流に開発した『足の指マッサージから始まり、小脳活性化の眼球運度なども取り入れ、最後は、CTスキャナー姿勢の背伸びで終わる』ストレッチ体操などを15~20分してから起き出す。

 その間、晩春から初夏ともなると、主に鳥の「さえずり」が聞こえてくる。その様子を俳句にした訳だが、厳密に言うと、鶯(ウグイス)は、それほど早起きではないようで、初音と、その続編は、いずれも午前8時頃(4月7日と8日)である。
 「ホー」は吸う息、「ホケキョ」は吐く息で、さえずると言う。早春、人里で「ホーホケキョ」と鳴く練習をした鶯は、初夏に山へ帰って巣づくりをする。その頃、「ケキョケキョ」という警戒音(谷渡り)を聞く。

 実物を2度を見たことがある。「うぐいす色」と称する羽色は、暗緑茶色で、橄欖石(olivine)の色に近い。雀くらいの大きさである。

 

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梅(ウメ)に鶯(ウグイス)

 

 【俳句-③】は、卒寿を過ぎた母と山路を散歩していた折、『蕗の華になってる』という観察に、行く春を教えられた感動を詠んだ。

 「米寿の祝い」を近親者で開催してから既に4年が経ち、先日、老人車を付いた母と散歩をした。早春の「蕗の薹(フキノトウ)」が出始めた頃には土手に目が向くが、同じ土手に咲いた「蕗の華(フキのハナ)」には気づかなかった。そして、蕗の茎を砂糖醤油で煮込んだ「佃煮」で、再び思い出す。

 母の言葉で、季節が大きく移り変わったことを知り、感動した。

 ところで、正直なところ、植物の生態について、花だったり、果実(収穫)だったり、紅葉(落葉)だったり、目立つ時期の特徴でないと、無関心で見落としていることが多い。まさに、『菊作り菊見るときは陰の人』(吉川英治)の指摘の類であり、ものごとが進行していく中に、様々な経緯を経て変化していく。

 私の経験では、オクラの芽生えの頃の弱々しさと、霜を経た後の片付けの時の丈夫な茎の違いが、あまりにも著しく異なっていることで、夏の後先(あとさき)を強く感じる。

 

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蕗(フキ)の花

 

【編集後記】 

 【俳句―①】は、やや遊び心を出して、創作してみたが、俳句会がなかったので、他の会員の評判はわからない。

 ところで、『猫が好きか、犬が好きか』という話題が取り上げられることがある。

似たようなものに、『蕎麦が好きか、うどんが好きか』というものある。後者は、西日本と東日本で差があるようだが、前者は、居住地には関係が薄いようだと思う。

 

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劇団四季「キャッツ」 独唱メモリー

 ちなみに、私は、猫より犬の方が好きである。両方とも飼った経験があり、育てていた時は、それなりの愛情を注いでいたが、やはり動物としての知能の差で、犬の方が、人間の意図・愛情を理解してくれるように思うからである。

 猫と言えば、「猫の恋」も印象的だが、劇団・四季が講演していた「キャッツ」を観劇したことだろう。感動してパンフレットを購入してきたが、見返してみると、どの場面も思い出深い。だが、多分、老猫役の女性が歌う「メロディー」の場面が人気があるのではないか。私も、同感(Me too)である。