北海道での青春

紀行文を載せる予定

令和5年 10月の俳句

     【神無月の句】 

 

① 爽やかに アンカーの孫 晴れ姿 

② 木星に 十六夜並ぶ 西の空

③ 秋茜 千日紅が ヘリポート    ≪秋の丈比べ≫

 

 第18回東京オリンピック大会(1964年)から、59年目の秋を迎えた。  

昭和15年に日本でのオリンピック大会開催予定はあったが、第二次世界大戦が迫る中、昭和13年に開催を返上した為、昭和39年の東京大会は、アジア地域での、初の開催となった。晴れの「特異日」でもあった10月10日に開会式が開催されたことを記念して【体育の日】が設けられた。しかし、「国民の祝日に関する法律」で、名称は【スポーツの日】と改められ、今では10月の第2月曜日となっているのは、少し寂しい気がする。

 「スポーツを楽しみ、他者を尊重する精神を培うとともに、健康で活力ある社会の実現を願う!」が、この日を祝う意味である。
 韓国での第24回ソウル大会(1988年・昭和63年)や、中国での第29回北京大会(2008年・平成20年)では、それぞれ国威を盛り上げようとする雰囲気の中で開催されたという印象が強い。

 当時の日本でも、そんな色合いが濃くて、私たちも子ども心に、国際社会への初デビューという高揚感に酔っていたと思う。

 さて、今月も世界情勢の動きは目まぐるしく展開してきている。
 いくつかある中で、ノーベル賞・各賞の話題や、米国シカゴ・マラソン世界新記録樹立などは、明るい話題である。しかし、「ロシア軍のウクライナ侵攻」に加えて、中東のパレスチナガザ地区を支配する「ハマス」によるイスラエル侵攻(10/7)に対するイスラエル軍の報復攻撃が始まった。自国防衛権の行使とは言え、イスラエルを支援していた欧米諸国からも、その非人道的な空爆や市街地侵攻に反対するデモが行なわれるようになった。

 そんな世界とは無縁と思われていた田舎の高齢者たちの俳句会でも、今月は、会員の体調不良などの異変があって、参加者4名だけの寂しい句会となった。
 しかし、互いの「俳句観」を披露し合う機会となったり、今後の会運営についての意見交換の場となったりして、暗くなるのも気づかずに話し合っていた。 
 ところで、俳句の世界では、対象とする内容や事物をひとつに絞り焦点化するというスタイルが一般的だが、感動した複数の内容を共に大事にしたいという思いで、今月は、『両者を称えたい』という観点で俳句を詠もうと挑戦してみた。
サブ・タイトルは、「秋の丈比べ」である。


 【俳句ー①】は、爽やかな秋空の下、幼稚園の運動会があり、孫が、「青色たすき・そら組」のアンカーとして走り、みごと優勝したことの喜びを詠んだ。ただし、爽やかさは、天気だけでなく、孫の言動について感動したという意味もある。季語は「爽やか」で、秋である。
 今月の「並び立つ両者を共に称えたい」という観点では、秋の空であり風である秋の爽やかさに対して、孫の駆けていく姿の爽やかさである。
 季語の意味合いからは、前者が主で、後者が従であるかもしれないが、後で、孫からリレー競技のエピソードを聞いて、「従」というより「主役」にしてあげたいなと感じた。

第2コーナーのアンカー勝負



 【写真】は、トラック一周が100mにも満たない幼稚園庭の第2コーナーで、後方から追い上げてきた「黄色たすき・ほし組」のアンカーが、迫ってきている場面です。『また抜かれるかと思って必死に走った』とは、孫の後日談でした。
 詳しく聞いてみると、運動会当日までに、既に学年の全体練習が5回あって、勝率は1勝4敗だという。組の全員が走るので、抜きつ抜かれつで、アンカーにバトンが渡された時の順位は様々であったらしいのだが、「ほし組」アンカーの子に4回抜かされていたようだ。
 当日のリレーで、孫(Tちゃん)は、1位でバトンを受けた。しかし、少し遅れて2位でバトンを受けた「ほし組」は、バトン渡しもスムーズに、あっと言う間にトップに追いついた。私は、バック・ストレートで抜かれるかもしれないと、手に汗を握って心の中で必死に応援していたが、結果は何んと、抜かれるどころかホーム・ストレートでは寧ろ差を広げ、みごとゴール・テープを切った。私は安堵したが、次の瞬間、少し興奮気味である自分を、周囲から悟られはしないかと心配もした。
 表彰式では、「優勝・2位・3位」の順位ではなく、どのチームも「よくがんばりました」という賞状をいただいた。幼稚園の先生方の配慮が滲み出ている。
 ところが、子どもの本音部分では納得できない所もあったようで、練習で逆転優勝を4回果たしていた「ほし組」アンカーの男の子は、悔し泣きをしていたようだ。

一方、孫の方は、『Tちゃんは本番に強いんだね』と周囲から言われて、悪い気はしなかったようだが、比較的、冷静に対応していたように見えた。
 『賞状を皆さんに見せてください』とアナウンスされた時、正面の級友たちに見せただけでなく、360度回転して、後ろ側の観客にも見せていた孫の行動に、私は、「周囲の状況を良く判断できる大した奴だ!」と独り合点をしていた。
 しかし、真実は、我が子のゴールを見ようと本部席側に、母親(私の娘)がいて、かなりな大騒ぎをしていたので、群衆の中から、母の歓声を聞き分けたらしい。大した奴ではなく、母にも見てもらいたかったのだろう。

            *  *  *

 運動会と言えば、真っ先に思い出すのは、「万国旗」である。幼稚園の園庭に飾られた世界の国々の国旗を眺めていて、少し微笑ましい光景を見つけた。

 

星条旗(アメリカ合衆国)

日章旗(日本国)

五星紅旗(中華人民共和国)

 

 国旗掲揚塔から4方向に伸びた万国旗の列の内、南東に伸びたロープに日章旗があった。何んと、その両隣は、星条旗(米国)と五星紅旗(中国)である。まさに現代政治の「米中対立」の間に、日本が仲介役を果たしているような図柄構成になっていた。
 万国旗を用意したのは幼稚園の先生方だろうと思うが、誰の仕業かなあ? 
 と言うのも、旗の順番は、オリンピック開会式の入場行進順のように、整然としているわけではない。先生方が、手分けしてロープに国旗を結び付けていく時、自分の良く知っている国旗や、好きな国の国旗を手元に集めて作業するものなのだ。(私の経験からの推理ではあるが・・・)
 ある先生が、日本の両隣に米国と中国を選んで結んだに違いない。もし、同じ順番で保管してあった国旗を結んだとすれば、何年か前の人の選考なのだろう。毎年更新されるなら、保管されていた万国旗の中から、今年選んで来たのだろう。

 

 【俳句-②】は、十六夜の月を見た時、たまたま木星が並んで見えたことを、感動して詠んでみた。季語は、「十六夜」で、月(moon)なので秋である。
 今月の「並び立つ両者を共に称えたい」という観点では、ぴったりの素材である。季語の「十六夜」から月が主のようにも解釈できるが、月と木星黄道上での動きを見れば、ゆったりとした動きの木星(惑星)に、月が寄り添うように接近し離れていくので、木星の方が寧ろ主役だと解釈できる。

惑星と月の軌道は毎日変化している

 ちなみに、【写真-上】は、ほぼ1カ月前の23ː00の木星と月の位置関係図であるが、遠くにある木星の1日の移動はわずかだが、月は東側に、約12°、時間換算で48分、移動する。月の輝く部分の形が変わるだけでなく、同じ方向を見ていると、月の出が48分遅れる。観点を変えて同じ時刻に月を見ると、東側に角度で約12°ずれた方向で見える。
(詳細は省くが、太陰暦ː月の周期29.5日=30日に由来する。)
 今年(2023年・令和5年)の仲秋の名月は、10月29日の晩であった。14.8の月齢なので、まさしく十五夜を迎える。
 天候は悪くないので期待していたが、なぜか東の空は雲が垂れ込めていた。
 夜中に、もう一度見ることも考えたが、早寝の私には無理だった。翌、十六夜に期待したが、忘れていた。
 ところが、10月31日の早朝、西の空に、両者を見ることができた。
 それで、満月を見逃した十六夜も十分に美しいが、それ以上に、小さいながら輝く木星に魅せられた。

木星と月が接近したことを宇宙から見る

 

 【俳句-③】は、千日紅の花の上に、秋茜(アキアカネ)がとまった様を詠んだ。
蜻蛉(トンボ)の実際の姿は、昔のプロペラ複葉機に似ているが、滑走路の必要も無く離着陸できるのは、寧ろヘリコプターに似ている。だから、花の先端部分が「ヘリポート」なのかなと感じた。季語は、秋茜こと赤とんぼであり、秋である。

千日紅に蜻蛉がとまる

 ちなみに、【写真】は、我が家の庭の園芸種・千日紅(センニチコウ)の花の上にとまった「ノシメトンボ」を写したものである。
 今月のテーマ「両者を称える」という意味では、まるで苺の果実のような千日紅の花の美しさと、秋茜の共演であり、共に「赤色」をしていた。

第19回佐久市総合文化祭に出品

 本年度も佐久市総合文化祭が開催された。私は、10月に詠んだ俳句の中から、「秋茜千日紅がヘリポート」を選んで出品することにした。
色紙に俳句を墨書し、俳画は、同じ赤~朱色系統の「柿の実」が良いだろうと、枝ごと取ってきた柿をスケッチして描いた。
それを専用の掛け軸に入れて展示した。(下の写真)

展示の様子


 

 

【編集後記】
 今回もかなり遅れて、「はてなブログ」に載せることになった。11月の前半は、毎年、文化祭の出展準備や片づけ、それに各会場を回って、様々なジャンルの皆さんの作品を見学してくるので忙しい。
 そこへ、我が家の水道管漏水事件が加わった。その心配事に頭を悩ませている。すぐに対応したが、まだ解決していない。水道などのインフラは、老朽化が各地で進んでいるようで、手配しても工事の日程が組めない程であるようだ。
 試しに漏水量を計測してみると、1.5~2.0リットル/分、すなわち1日なら、約2~3立法メートルも、実際に使わないのに勝手に地下に流れていることになる。水の「もったいなさ」もと言いたいが、本音では料金が嵩むことも心配である。なにしろ、上水道の使用に比例して、下水道料金も換算されるからだ。
 使用しない時間帯は、元の止水栓を回して水流を止めようかと思い相談したら、「古いタイプは、回してバブルが壊れたら大変です」とアドバイスされた。おとなしく、業者さんの他での作業が済んで、我が家の番になる日を待つしかないという結論になった。納得はいかないが、仕方の無いものは、成り行きに任せるしかないという心境です。

2023.11.14(13:15pm)



 さて、浅間山に初冠雪のあった翌日、いつもより多めに噴煙が上がっていたので、急いでカメラを持ちに行って、撮影しました。火山活動を観測している研究者よろしく、毎日、水道メーターを眺めている(おとんとろ)です。